キャンプギアを取り入れた機能的な自宅で過ごす、家族団らんの夜時間。〜キャンプコーディネーター・内舘綾子さんのナイトルーティン〜

自分自身のお手入れはもちろん、家族やまわりにいる人たちへのケアも大切にする。そんなコンディションを整えることに長けたプロフェッショナルたちは、一日の疲れや乱れをオフするためにどんな夜のルーティンを取り入れているのでしょうか。今回は、キャンプコーディネーターであり、防災士としても活躍する、内舘綾子さんにお話を伺いました。

日課は朝のランニング 家族が起きる前の一人時間を楽しむ

玄関を入ると、広い収納土間が目にとまり、そこには無骨で小洒落たキャンプギアがずらり。お気に入りのアイテムを“見せて”収納できるように、室内はフルリノベーションされています。ここは、キャンプコーディネーターであり、防災士の資格を持つ内舘綾子さんのご自宅兼職場。キャンプギア好きの内舘さんにとっては、たまらない空間が室内まで広がります。

上記の写真は内舘さん提供)

平日も週末も問わず、キャンプシーンの撮影やアウトドア専門のWebサイト『CAMP HACK』での原稿執筆、さらに防災士としての講演会などで忙しい日々を送っている内舘さん。プライベートでは、小学4年生の娘さんと年中の息子さんの2人のママであり、お子さんたちもみんながキャンプ好き。家族の予定が合う週末には、家族4人でキャンプを楽しんでいます。

ウィークデーの内舘さんの朝は、とてもアクティブ。毎日6時に起床して、気持ちがノッているときには、代々木公園まで走りに行くのだそう。

「朝走ると気持ちがスッキリして、一日がうまくまわる気がするんです。走りに行けなかった日も、体をほぐすストレッチをしたり、植物に水やりをしたりと、子どもたちが起きてくるまでの間、一人時間を楽しみます」

これは、キャンプの日も一緒。お子さんやご主人が起きてくる前に、キャンプ場の中をお散歩したり、ゆっくりとコーヒーを飲んだりと、1人で静かに過ごすのがお気に入りだと言います。

7時には家族が起きてくるので、そこからは一気にバタバタと朝食や支度を。お子さんとご主人が8時〜9時にはそれぞれ出かけるので、そこから家の片付けをして、仕事モードに切り替えます。

18時ぐらいに仕事を終えて、下のお子さんのお迎えが完了したら、内舘さんの夜のルーティーンが始まるのだとか。

夜のルーティン その1

夜の始まりは缶ビールの“プシュ”。アウトドアグッズを自宅でも活用

料理を作る前に缶ビールをオープン!この瞬間から、内舘さんのスイッチがオフになります。この音でお子さんたちも集まってきて、内舘さんは缶ビール、お子さんたちはジュースを手に「今日も一日おつかれさまでした、乾杯〜!」のかけ声がお決まり。 “ながら飲み”しながら夕食の準備をして、家族で夕食をとります。

この“ながら飲み”に欠かせないのが、お気に入りの缶クーラー。料理中に缶ビールを飲んでいると、いつの間にかビールがぬるくなってしまうのですが、この缶クーラーがあればずっと冷え冷えのまま。キャンプでもご自宅でも大活躍だそうです。

このように、内舘さんのご自宅には、いたるところにキャンプギアが。キッチンで使っている食器類なども、アウトドアでよく使われるステンレス製のものがほとんど。キャンプギアを、日常でも使うのが内舘さん流。見た目もおしゃれだし、機能的でもありますが、理由はそれ以外にもあるようです。

「私は『CAMMOC(キャンモック)』という制作会社にて、キャンプのある暮らしをコンセプトに活動しています。そこで、ある日メンバーから、『キャンプの知識って、災害時にも役立つよね』という言葉を聞いて、たしかに!と思いました。キャンプのある暮らしって、自然と災害にも強い暮らしになっているんですよ。それで、もう少し防災について学びたいなと思って、防災士の資格を取得しました。そこからは、キャンプのアイテムを日常に取り入れるアイデアなどの発信もしています」

また、ステンレスなど割れない丈夫なアイテムをキッチンで使うことは、防災の面でも理にかなっています。地震で万が一、ものが落ちてきたときに、ガラスなどの場合は割れてケガをする危険も。そこで、割れる心配がないものをあえて選ぶようにしているのだそう。

 “見せる”収納は、一見すると防災面でものが落ちてきやすい印象ですが、固定できるものはしっかり固定して、落ちてきて危ないものは収納には置かないということを徹底。インテリアを楽しみつつも、防災士として安全面をしっかり考慮したお家づくりをしています。

夜のルーティン その2

便利グッズに頼りながら、自分の保湿もしっかりと

食事を終えたら、子どもたちとのお風呂タイム。息子さんにはまだ手がかかるので、お風呂上がりも時間との戦いです。息子さんの支度をしながら、ご自身のケアも怠らないように心がけているそうです。

そこで時短のために、湯上がりの素肌に着られるガーゼワンピースを愛用。お風呂上がりにパッとこれを着るだけで、何もしなくても数分後には体の水分を吸収してくれて、息子さんの着替えなどもしやすいそう。夏であればプールや海へ遊びに行ったときにも便利ですし、旅行にも薄手で持ち運びしやすいので重宝するそうです。

「仕事柄、どうしても屋外で過ごす時間が長いので、日焼けや肌のダメージは気になるところです。私の場合は、とにかく保湿を大事にしてケアをしています。ただ、お風呂上がりはゆっくりケアをする余裕がないので、とりあえずパックをして、その上からシューっと化粧水を吹きかけています。ミストタイプのスプレーボトルに、大容量で購入できる手頃な化粧水を入れて、家族みんなで使っています。体にも吹きかけやすいので便利ですよ」

お風呂から出た後は、子どもたちは21時半ぐらいまでにはベッドに入るのを目標に。内舘さんも寝かしつけをしながら、そのまま一緒に寝てしまうことがほとんどだとか。たまに途中で起きることができたら、それからご主人と晩酌をしたり、たまっていた録画を一緒に観て二人の時間を過ごしているそうです。そのときに、次に出かけるキャンプの予定を立てることも。

夜のルーティン その3

災害が起きたときにも、慌てないための整理整頓を

内舘家には、眠る前にいくつかのルールがあります。そのひとつが、リビングに干してある自分の洗濯物は、自分で部屋に持っていくこと。これは、自分のことは自分でするようにという、内舘さんの考えがあって、お子さんが小さい頃から徹底しているそうです。

「防災の考えのひとつに『自助(じじょ)』という言葉があり、自分の命は自分で守るという意味です。これをどうやって普段の行動につなげたらいいかなと考えたときに、子どもたちにも自分のことは自分でさせようと思いました。子どもだからとなんでも親がやるのではなく、小さいうちから、『自分のことは自分でする、自分の命は自分で守るんだよ』と伝えたかったんです」

もうひとつのルールが、眠る前の家の中の整理整頓。とくに、床にものが落ちていないように、片付けをしてから眠るようにしているそうです。これは、就寝中に地震などの災害が起きたときに、床に落ちているものでつまずいたりケガをしないようにするためです。

さらに、眠る前には靴をそろえることも。このとき、室内側にかかとを向けて、靴をそろえるようにしています。これは、災害時に家から逃げるときなどに、サッと靴が履けるようにするためだと言います。家族には帰宅した際に靴をそろえるように伝えているそうですが、再度チェックをしてから眠るようにしているのだとか。

ご家族みんなで眠っているベッドの枕元には、ソーラーランタンを。電気をつけなくてもやさしい光の中で眠ることができて、お子さんたちもお気に入りだそう。日中は、寝室の窓際にソーラーランタンを置いて、太陽に当て充電させています。

「このソーラーランタンは、キャンプに行ったときにもテントの中で重宝しています。キャンプのときだけ使うのでは、キャンプ用品の中にしまいっぱなしになってしまいますが、日常でも同じものを使うことで、停電時などいざというときにもスムーズに使えるんです」

夜のルーティン 番外編

キャンプの夜は、家族がそれぞれに自由な時間を過ごす

(上記の写真は内舘さん提供)

キャンプ中の夜は、少し特別な過ごし方を。内舘さんとご主人は、焚き火の前でお酒を飲みながらおしゃべりをして、ゆっくり流れる夜時間を楽しみます。一方でお子さんたちは、好きなゲームをしたり、絵を描いたりと、思い思いにテントの中で過ごすことも多いそう。

「キャンプコーディネーターの仕事をしていると、子どもたちのキャンプ場での過ごし方について話題になることがあります。『せっかくキャンプに来たんだから、ゲームをするのはどうなの?』という声もありますが、基本的に我が家の場合は、キャンプ場では自分の好きなことをするのでいいよと。親が、『これしようよ!』と強要はしないようにしています。親は親で好きなことを、子どもは子どもで好きなことをするのがいいんじゃないかなと思っていますね」

仕事や子育てで忙しい内舘さんにとっての夜時間は、スイッチをしっかりオフにして、家族で過ごす大切なひととき。そんな中でも、防災を意識した夜のルーティンを大切にされています。また、毎日を快適で心地よく過ごすために、キャンプで活躍している便利アイテムを上手に取り入れているのも、内舘さんらしいところ。内舘さんの夜のルーティンには、誰もが参考にしてみたいアイデアが詰まっていました。

コラム

My Favorite〜毎日を快適に過ごすために〜

足専用のマッサージ機でリラックスタイム

最近、内舘家に導入されたばかりの、足専用のマッサージ機。これがとにかく気持ちよくて、家族で取り合いをしているそう。ここに足を入れながら、テレビを見たり、お酒を飲んだり、お子さんたちとおしゃべりをしたりと、リラックスした時間を過ごします。上がテーブルになっていてものが置けるのもポイントで、ここに飲み物を置いたり、ときにはお子さんが座って一緒にテレビを見ることも。家族みんなが集まってくる場所にもなっています。

プロフィール

内舘綾子/Ayako Uchidate

ライター、キャンプコーディネーター、防災士。幼少期から家族でのキャンプを経験し、2014年に長女が誕生したのを機に、ファミリーキャンプデビュー。2016年よりWEBメディア「CAMP HACK」のライターとして活動を開始し、2020年には制作会社「CAMMOC」に加入。さらに防災士の資格を取得し、“防災キャンプ講座”なども行っている。

公式ホームページ:https://lit.link/ayak0uchi

 


 

ライター/内田あり

フリーランスの編集ライター。食・子育て・住宅・インテリア・植物・ガジェットなど多岐にわたるジャンルで、ムックや雑誌、フリーペーパー、WEBコンテンツなどで執筆。夫と大学生・高校生の姉妹と4人暮らし。

(取材日:2024/6/14、 取材地:内舘綾子さんのご自宅、 編集:盛山円香 撮影:田尻陽子)